静岡県 沼津市 【デンタルオフィスみなと】 一般歯科 歯科口腔外科 小児歯科

診察時間:平日/9:30~13:00
15:00~19:00
休診日:水曜・日曜・祝日
静岡県沼津市本田町5-17
TEL:055-926-8241



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みなと雑感 ~Minato miscellaneous impressions~
横浜
横浜を離れて4年が経った。先日、3歳になった娘と一緒に横浜に出掛けた。
中華街で食事をした帰り、妻は車の窓越しにかつて暮らした部屋を眺めた。
新婚時代を過ごしたその部屋からは、山下公園やベイブリッジを望むことができた。
懐かしさのあまり涙を浮かべる妻に、娘は「ママ、どうしたの?」と聞いた。
「ここは、あなたが生まれる前に、パパとママが住んでいたところよ」。
妻と知り合ったのがこの街であり、山手で4年間の大学生活を送った彼女にとっても、なじみの街なのである。
長い間憧れていたこの街に住むことができたのは口腔外科を学ぶためであった。
ただ、歯学部の口腔外科との違いは著しく、随分と戸惑った。
入局したての頃、歯科治療の機会の少なさに焦っていた私に「歯科治療は、あとからでも何とかなるよ」と声をかけてくださった先生がいた。
たしかに、手術や入院症例を後から学ぶことは難しい。
おかげさまで、水平埋伏智歯の抜歯やのう胞摘出など外来小手術はずいぶん経験させてもらった(ご指導いただいた先生方には大変感謝しております)。
市大で助手をさせてもらった後、横浜船員保険病院に2年間勤めた。
それから私は、地元である静岡に帰り勤務医をしている。
木曜の休日は、市大の非常勤を続けさせてもらっている。
東海道線で市大まで片道2時間半の道のりは、季節の移ろいゆく横浜をながめながら、ゆっくり考えたり読書をしたり、のんびり過ごす貴重な時間だ。
友人たちが次々と開業していく中、気づけば、勤務医をしているのは私ぐらいだ。
こうなったら、理想の医療を実現するために、あせらずに考えよう。
そんなある日、横浜行の電車の中で思いついた医院の名前。
市大から毎日眺めていたもの、横浜と私の故郷である沼津に共通するもの。
決まった、横浜への想いを医院の名にしよう。
2007.5.11 露木良治

横浜市立大学大学院医学研究科 顎顔面口腔機能制御学(口腔外科学教室)
同門会会報 平成19年6月23日 第12号掲載


■ ALONG THE OCEAN  ■ みなとみらい  ■ 金沢八景  ■ 小港 

■ 山手  ■ クシー君  ■ エッセイ集 

ALONG THE OCEAN
当院は2013年6月で開院5周年を迎えることができました。ひとえに皆様のご支援の賜物と、心から感謝申し上げます。皆様のお口の健康のためにスタッフ一同全力を尽くします。これからも、よろしくお願いいたします。
さて、開院5周年を記念いたしまして、曲を作りました。私が好きな海をイメージした曲です。皆様のお耳に合うかわかりませんが、どうぞ、ご視聴ください。


※動画や音楽を試聴するためには、下記のプラグインが必要です。
 ■ Adobe Flash Player
 ■ Windows Media Player


<Movie>






<Sound>




2013年6月16日
作曲:露木良治 All rights reserved.
アレンジ・ギター・プログラミング:宮崎達也
ベース:小林歩
制作:株式会社LIVESCAPE 岩村和輝
撮影場所:逗子マリーナ







当院が、FMラジオで紹介された時の音声です。
シブヤFM「PIN UP」2009年3月14日(土)AM9:30-AM10:58放送。




みなとみらい
 ここに紹介する写真は、私が中区小港町に住んでいた頃、100万画素のデジタルカメラで、2002年9月から2003年3月の間に撮影したものです。住んでいた部屋から山下公園までは、歩いて15分ほどでした。この頃、2002年4月には待望の赤レンガ倉庫がオープンし、同年には大さん橋の新ターミナルも完成しています。

【マリンタワー】
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マリンタワー

【マリンタワーからのベイブリッジ】
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マリンタワーからのベイブリッジ

【ぷかり桟橋】
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みなとみらい

【みなとみらい夜景1】
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みなとみらい夜景1

【みなとみらい夜景2】
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みなとみらい夜景2

【横濱コレクターズモール】
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横浜コレクターズモール

【横浜港】
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横浜港

【大桟橋入り口】
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大桟橋入り口

【大桟橋付近1】
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大桟橋付近1

【大桟橋付近2】
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大桟橋付近2

【通船待合所1】
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通船待合所1

【通船待合所2】
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通船待合所2

【通船待合所3】
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通船待合所3

【東西上屋倉庫の海側】
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東西上屋倉庫の海側

【氷川丸2003年新年】
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氷川丸2003年新年

【クイーンズスクエアのクリスマスツリー】
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クイーンズスクエアのクリスマスツリー
金沢八景
 1996年4月~2001年4月まで、横浜市立大学医学部のある金沢区に住んでいました。口腔外科学の医局からは八景島や横須賀の造船所が見えます。大学のすぐ横に「海辺の散歩道」があり、海を眺めながら歩いていくと、八景島まですぐです。横浜市立大学附属病院は、「ナースマン」など、数々の医療ドラマの撮影に使われています。

【横浜市立大学医学部構内】
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横浜市立大学医学部構内

【横浜八景島】
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横浜八景島

【海辺の散歩道】
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海辺の散歩道

【海辺の散歩道から横須賀を望む】
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海辺の散歩道から横須賀を望む

【八景島シーパラダイス】
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八景島シーパラダイス
小港
 横浜港は大きいのですが、直接、海を見ることができる場所は意外と限られています。私が好きなのは、本牧埠頭や小港付近です。この頃、建設中だった横浜市立港湾病院は、2005年4月に完成し、横浜市立みなと赤十字病院として、再出発しました。

【ビューコート小港のウッドデッキ】
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ビューコート小港

【横浜港小港付近1】
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横浜港小港付近2

【横浜港小港付近2】
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横浜港小港付近2

【横浜港小港付近3】
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横浜港小港付近3

【横浜港小港付近4】
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横浜港小港付近4

【建設中の横浜市立港湾病院】
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建設中の横浜市立港湾病院

【小港町からのベイブリッジ】
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小港町からのベイブリッジ

【小港町からのベイブリッジ夜景】
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小港町からのベイブリッジ夜景

【中区小港町1】
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中区小港町1

【中区小港町2】
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中区小港町2

【夕暮れの小港1】
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夕暮れの小港1

【夕暮れの小港2】
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夕暮れの小港2
山手
 外人墓地には通常、立ち入ることはできませんが、一般公開している日があります。「港の見える丘公園の二人」は、夕暮れ時にベイブリッジを見ていた見知らぬカップルを妻が撮影しました。セピア色に加工してみました。山手公園市営テニスコートは、日本のテニス発祥の地です。 

【トイズクラブ1】
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トイズクラブ1

【トイズクラブ2】
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トイズクラブ2

【外人墓地1】
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外人墓地1

【外人墓地2】
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外人墓地2

【港の見える丘公園の2人】
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港の見える岡公園の2人

【港の見える丘公園】
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港の見える丘公園

【港の見える丘公園から1】
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港の見える丘公園から1

【港の見える丘公園から2】
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港の見える丘公園から2

【山手1】
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山手1

【山手2】
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山手2

【山手テニスコート】
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山手テニスコート
クシー君
2003年、トイズクラブで購入した鴨沢祐仁(かもさわゆうじ)の「Picabian Night」(ピカビアな夜)を院内に展示しています。
10枚作られたジークレー版画の1つで、トイズクラブの北原照久社長の証明書もあります。
鴨沢祐仁(1952~2008)は、クシー君で有名です。
56才の若さで他界されてしまいました。
院内には、他に、クシー君を描いた直筆のイラスト色紙なども展示しております。
その御縁があって、北原照久のおもちゃ博物館様と、河口湖 北原ミュージアムHappy Days(ハッピー・デイズ)様に、リンクの許可をいただきました。
河口湖 北原ミュージアムには、鴨沢祐仁の作品が多数所蔵されています。

【直筆イラスト色紙 クシー君とレプス君とロボット】
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直筆イラスト色紙 クシー君とレプス君とロボット

【クシー君のイラスト色紙】
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クシー君のイラスト色紙

【ピカビアな夜】
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ピカビアな夜

【ピカビアな夜の証明書】
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ピカビアな夜の証明書
エッセイ集


妙覚寺にまつわる平家の悲話

私の家の菩提寺は、市内下河原の妙覚寺です。このお寺には、小説家の井上靖が少年時代に下宿していたことがあり、 空襲で当時の建物は焼失したとのことですが、境内には井上靖の文学碑が建てられています。 先日、妙覚寺の住職さんにお話をお伺いする機会がありました。そこで私は、平家に関係するお寺であることを初めて知りました。
1185年、壇ノ浦で滅亡した平家一族でしたが、平清盛のひ孫である六代公は源氏の追手から逃れて生き残っていました。 しかし、源頼朝は彼を捕えます。一旦は文覚上人に助けられ、その弟子となり仏門に入ります。その後、文覚上人が流罪にあい、 その件とは無関係であった六代が責任を負わされて、頼朝の子である頼家によって神奈川県逗子田越川(たのこしがわ)で、 32歳の若さで処刑されました。六代の死によって、栄華を極めた平家は絶えてしまったのです。
この話には、続きがあります。六代の家臣であった斎藤六範房(さいとうろくのりふさ)と兄の五盛房は、晒されていた六代の首をひそかに持ち出し、 高野山まで運ぼうとしましたが、冷蔵庫や防腐剤のなかった時代であったため、六代の首が腐敗し、 やむをえず千本松のある木の根元に埋めたそうです(東間門の六代松の碑)。その後、範房は、下河原で六代の冥福を祈りました。 範房の子は仏門に入り、1308年に日安と名を改め、妙覚寺を開山したそうです。仏門に入った六代の法名が妙覚だったのです。
住職さんのお話を聞いた後、あらためて妙覚寺の門を見ると、お寺の名を記した石碑の右上に「平家六代公旧跡」とはっきり彫られていました。 源平の争いの中、無実の罪で命を失った若者を弔うお寺だったのです。

記 2013年2月8日 露木良治
参考文献 「妙覚」妙覚寺 「優婆塞日安」妙覚寺

沼歯報かわら版 2013年3月号に掲載





その後の藤枝市立総合病院口外

2007年9月、藤枝市立総合病院歯科口腔外科は諸事情により廃止されました。 それから5年たった2012年10月に歯科口腔外科がようやく再開され、横浜市大口外から渡貫圭先生が着任されました。
渡貫先生は横浜市大に1994年に入局された、私の2つ先輩です。私が病棟に配置され、渡貫先生から最初に言われた一言、 「研修医は、たとえ休みの日でも、毎日、病棟に来るんだぞ」が、今でも私の心に刻まれています。 当時の研修医にとって、厳しくも、きめ細かく教えてくれる頼りになる指導医でした。
渡貫先生は日本口腔外科学会専門医ですが、東京医科歯科大大学院・小野繁教授の頭頸部心療科で学ばれ、 OFP(口腔顎顔面痛)や口腔心身症にも造詣が深い口腔外科医です。沼津と藤枝は、けっして近くはありませんが、 県内に頼りになる病院が増えたと思います。今後の藤枝市立総合病院口外の発展を祈ります。

記2012年12月5日 露木良治




横浜アンティーク雑貨探訪

私は横浜が大好きで、横浜市大と関連病院勤務で7年間、住んでいました。 妻も横浜山手で大学生活を送りましたので、夫婦で横浜好きです。
沼津から車で1時間半くらいと、意外に近い横浜。横浜の魅力は、異国情緒を感じさせる港と街並みにあります。 たくさんの買い物スポットがありますが、今回は私がおすすめのコース、山下公園付近のアンティーク雑貨を紹介させていただきます。
まず山手に向かいましょう。テレビでおなじみの北原照久氏のトイズクラブに行くと、ブリキのおもちゃ博物館や1年中クリスマスのグッズを売っているクリスマストイズがあります。 えの木ていや山手十番館でお茶でも。外人墓地をぬけて、山下公園へ。横浜港を一周するマリンルージュとマリンシャトルを楽しんでください。 大桟橋へ向かってぶらりと散策、開港広場前の交差点にはオープンカフェが並び、まるでヨーロッパの街角。 近くには、Bluee-sやBlue Blueなどのマリンテイストの雑貨屋さんや、湘南を代表するカレーのお店入り口のたいまつが目印のサンアロハなどがあります。 交差点の北側、シルクセンター地下1階の横濱アンティークモールに寄ってください。アンティークのおもちゃやインテリア雑貨などがたくさんあります。
大桟橋屋上のウッドデッキで潮風を感じ、新しく整備された象の鼻地区の公園までそぞろ歩き。 岸壁近くの古い転車台の遺構に、港町の歴史を感じることができます。
赤レンガ倉庫を眺めながら、次はワールドポーターズ。輸入品中心のショッピングモールです。 3階のハイカラ横丁は、アンティークの雑貨がところ狭しと展示・販売されて、昔なつかし駄菓子屋さんやおもちゃ屋さんが並び、昭和にタイムスリップしたような気分が味わえます。
買い物せずに、ぶらり歩いて街並みを眺めるだけでも魅力的な横浜。ぜひ、訪れてみてください。

記2012年8月19日 露木良治

静岡県歯報 2012年10月20日発行 第45巻第4号に掲載





舌がんは機械的刺激で増悪する

歯科領域で悪性の疾患といえば舌がんです。舌がんは、歯の鋭縁や不良補綴物に接している舌側縁に生じることが多いことが知られています。
ウサギの耳に発がん物質であるタールを根気強く塗り続けることによって初めて人工がんに成功したのは日本の山極勝三郎博士です。 これはノーベル賞に値する研究でしたが、残念ながら、成果は認められず、 1926年にデンマークのフィビゲル(Fibiger)の寄生虫による発がんがノーベル医学生理賞を受賞しました (後にフィビゲルの発見は誤りであることが判明!)。

横浜市立大学医学部構内 私がお世話になった横浜市大口外では口腔がんの実験にハムスターの舌がんを用いています。 ハムスターの舌に発がん物質であるDMBAを塗布し続けると発癌することは以前から知られていましたが、 発がんの効率はあまり高くありませんでした。そこで、私の恩師の、医師かつ歯科医師である藤田浄秀先生(2006年に教授を退官)は クレンザー(抜髄針)を用いて舌に擦過創をつくり、そこにDMBAを塗布することによって、従来よりも高率に舌がんを発生させることに成功しました。 実際に行ってみると、数週間~数か月で30~40%くらいの割合という高頻度で舌がんが発生します。抜髄針を使うという点がミソで、 「藤田らの方法」(Fujita method)として、知られています。これは、まさにがんの発生に機械的刺激(慢性の外傷+微生物の感染?)が 関係しているとのことを歯科領域から明快に説明した、とても価値のある研究だと思いますが、山極博士の研究と同様、 世界的にはあまり評価されていないようで残念です。
そういう訳で、齲蝕を治療し、クラウンや義歯のマージンをしっかり研磨することは、 患者さんを舌がんから守ることにつながりますね。

記 2012年3月5日 露木良治

沼歯報かわら版 2012年6月1日号に掲載





エバースマイル・ニュージャージー

テレビドラマや映画など、医師を主人公としたものは多数ありますが、歯科医ものは、 ドラマになりにくいのか、非常に少ないのは残念です。その中でも、 巡回歯科医ファーガス(ダニエル・デイ=ルイス)が主人公の映画「エバースマイル・ニュージャージー」をご存知でしょうか。
EVER SMILE 風の吹きすさぶ荒野でも、大型バイクのサイドカーにハンドピースやライトを取り付けて患者さんを座らせると、 そこが彼の診療室。行く先々で「世界中にムシ歯が蔓延している!」と熱く語る彼は、 単純明快すぎて時に地元住民に受け入れられないこともありますが、彼に惹かれた若い女性と旅を供にします。 デビュー当時の宮沢りえ似の、彼女の一途で健気な演技に好感が持てます。彼の気ままな生活(途中で地元の開業医との衝突もありますが)に、私は少し憧れを感じながら、さわやかなエンディングのラブストーリーです。1989年公開、1990年に松竹からビデオ、2006年にDVD化されています。

記 2011年11月 露木良治

沼歯報かわら版 2011年12月号に掲載


追記 巡回歯科医ファーガスを演じたダニエル・デイ=ルイスは、2013年の第85回アカデミー賞において「リンカーン」で主演男優賞を獲得しました。これは、史上初の3度目の同賞受賞という快挙です。





座談会 医者と患者の関係論


露木 今日は「医師と患者の関係」という題で座談会をもちたいと思います。高増さんは専門病院に勤める小児科医で、医師として日頃感じていらっしゃることを話していただきたいと思います。菅井さんは、理学部を卒業して、現在、大学院生として医学研究をされている方ですが、こどもの頃から喘息で患者として病院に通院していた立場で話をしていただきます。私、露木は、歯科医師として、臨床のかたわら基礎医学研究を行っています。今回は司会かたがた歯科医としての立場でも話をさせていただこうと思います。我々3人は、以前同じ研究室で仕事をしていたことがあるので、これまでにもいろんなテーマでよく議論をしたものですが、今回この座談会を企画したきっかけは、高増さんがインターネットのあるホームページの掲示板で、「診察室を舞台として、医師は医師を、患者は患者を演じている」といったような論を展開しているのを発見して、これはおもしろい、と思ったんです。このことをいいだした主旨はなんですか?
高増 そのホームページで、人間社会が演技でなりたっているという指摘を読んだとき、なんか普段感じていることに通じるものがあるな、と思ったのです。医師と患者は、本来は人間対人間なんですが、診察室という特殊な場の中で、医師は白衣を着て大きな椅子に座っている、患者は順番を告げられるとそこに入っていって、小さい丸イスに座って患者然としている、そうすることによって医師対患者という特殊な関係を成立させているな、と感じていたのです。
菅井 私はこの話は、それ自体はおもしろいけれど、ホームページの掲示板という場所で、このような堅い話題が議論として成立するものだろうか、という視点でも見ていました。おそらく、成立するのは難しいだろうと(笑)。
露木 議論になっていたのかどうか、という意味では確かに疑問でしたが、私も日頃から白衣の持つ意味については、関心を寄せていました。印象的なのは、映画「ヒポクラテスたち」の冒頭で、白衣を抱えた医学生が交通事故の現場に遭遇し、野次馬たちに白衣を見られないように隠しながら通り過ぎるというシーンです。
高増 白衣というのは、いつごろから着るようになったのでしょうね。
露木 起源をたどると中世のヨーロッパにさかのぼるようです。医学校、ことに大学ができてからは、教育を受けたもののみが袖の長いガウン風の服を着て、帽子もかぶっているというふうに、着るもので区別されるようになったようです。以来、白衣は医者の職業イメージと密接に結びついています。
菅井 白いことには何か意味がありますか。
露木 もちろん白には清潔をイメージさせる効果がありますし、また特に日本人にとっては白無垢、白装束など、白い着物は非常にあらたまった場で用いられる特別のもの、という意味もあります。白には緊張感をもたらす作用もあり、白衣を着た医療スタッフが血圧を測るときだけ高血圧になるという現象も、我々の間では有名な話です。
高増 そのような舞台設定の中で特殊な関係を成立させることで、たとえばプラセボ1)効果が生まれることもある。それはそれで大事な役割を果たしているのかもしれません。しかし一方で、医療はサービス業であるという視点を医療従事者の側はもつ必要があるだろうと思います。お客様である患者のニーズにどう答えていくか、ただそれが難しいのは、ニーズが多様であること、そして時代の流れの中でニーズが変わっていく部分もあることです。今までどおりの舞台の上で、やってゆくことを求めている人もいるでしょうし、もっと対等な関係を求めている人もいる。後者が増えていることは、インフォームド・コンセント2)、セカンド・オピニオン3)などの概念が広まっていることから考えれば明らかなのですが、医療の側にそれに対応する基盤が整っているかというと疑わしい。
露木 サービス業であるという視点といわれましたが、たとえば、大学の講義や臨床研修の場で、人と接する技術を習得する機会がないのは問題ですね。民間企業では、新人研修の時に、電話の応対の仕方から人と会話をするときの具体的な方法論を学ぶ機会があるのです。たとえば、初対面で年配のひとに「おじいちゃん」や「おばあちゃん」と話しかけるのは失礼なことですが、そういったことを学ぶ機会が医学部、歯学部にはなさすぎます。
菅井 患者の立場でいうと、インフォームド・コンセントが成り立つためには、患者側にきちんと情報が伝わっている必要があります。でも現実には、患者側が情報を得るチャンスは非常に少ない。たとえ情報があっても、その善し悪しを判定する基準もないわけですし。私自身は現時点では、処方箋が情報源としては大きいと思っています。治療といっても具体的にはほとんどの場合処方箋という形で行われるわけですから、処方箋で出された薬の内容がわかれば、その医師が何をしようとしているかが見えてくるかもしれない。患者にもわかる薬の本がありますが、あの本の存在は大きいです。
高増 ただあの手の本は、能書という建前上必要な情報だけが記載されている書類の抜粋でしかないのでは、という気もします。そのままでいけば小児や妊婦には出せる薬がほとんどなくなってしまいますし、すごくまれな副作用までずらりとでている。一方では保険上認められている適応症以外の目的で薬を使う場合もよくあるけれど、そういった処方する側の考えまでわかるような患者向けの本はなかなかないんじゃないでしょうか。
菅井 それから病院の特徴やランク付けをした本も出回っていますね。私たちは病院についてはそういう情報や近所の評判を聞いて選ぶわけだけれど、現実にはその病院に行って、どの医者が自分の担当になるのか、診察室に入るまでわからなかったりします。それに日によって担当医が違うこともある。このストレスは大変なものです。自分の体をゆだねる人がどんな人なのか、わからないのですよ。「かかりつけ医」4)をもつことが大事といわれていますが、自分にとって信頼できるかかりつけ医にめぐり会うということが実は非常に大変な作業です。
露木 病院のランクづけの本は誰がどういう基準で選んだかという問題がありますね。たいていは大学病院やセンター病院が上位に選ばれていますが、個々の患者がみなそういうところにかかるべきかというと、そうではないはずで、どこにかかればいいのか知りたいという期待と実際の中身とには、かなり開きがありますね。
高増 私も個人的に近所の歯科医にかかって、いきなりどなられて大変な目にあったことがありますが、どこの病院にかかればいいかって、結局近所の評判が最大の情報源ですね。我々は患者さんからよく「いいところを紹介してください」といわれることがありますが、医療の側にいても実はよくわからないんですよね。それにいい悪い以前に、相性が合う、合わない、といった部分もあります。ですから、ドクターショッピング5)という言葉を医療の側はよく悪い意味で使いますが、私はある程度は相性の合う医師に巡り会うまでの作業としては仕方がないことだし、それがセカンド・オピニオンにもつながると思います。医療の側はそういうことに対して、もっと受け入れるというか、むしろ積極的に勧める側にいてもいい気がします。
露木 医療の側と患者の側に意識のずれが見られるということがよく指摘されますが、それは歯科の世界でも同じことがいえると感じています。問題は意識のずれをどう埋めていくかです。歯科医院を訪れる患者の多くは、「歯が痛くなった、痛い歯を治してほしい」という意識を持っていますが、我々からすると、痛くなった歯はかなり症状が進んだ歯で、本来むし歯は痛くないうちに治療すべきなのです。ところが口腔内診査の結果、幸いにも痛くないむし歯を発見することができ、それを治療しようとすると、けげんな顔をされることもある。我々としては、その辺の意識のずれを埋めるために、しっかり説明する必要がありますが、きちんと説明しようとすればかなりの時間がかかります。歯科治療は処置が中心ですから、もともと時間がかかるものなのです。詳しく説明する時間をどうやって捻出できるか、頭の痛い問題です。また「歯の1本くらい」と軽く考えている人の多いのに驚きます。そういう人たちに、いちから説明するのは生半可なことではできません。
高増 それに丁寧に説明したい気持ちはあっても、そのあいだ待たせているたくさんの患者さんがいることも気になる。
露木 初診料、再診料は非常に安く設定されていますから、丁寧に説明していては経営上もやっていけなくなるのが現状です。
高増 世間では医師、歯科医師は儲けていると思われているふしがあるけれど、本来の我々の技術に対する報酬、すなわち診察料は極度に低く設定されていて、まじめにやっていればいるほど報酬は少なく、かつかなりの重労働をしょいこむことになります。それにたとえば下積みの時期には看護婦さんよりも低賃金で雇われて、昼夜を問わず働いている。ひとくちに医師といってもいろいろな境遇におかれているということは外からは見えにくいですよね。
菅井 お二人の話を聞いていて、改めて感じたのですが、医師、歯科医師は、権限が大きく患者から求められている部分も大きい分、行うべき業務が過多になりがちなのではないでしょうか。一人の主治医となる医師が、身体的な治療の他に精神的なケアもすることができればベストなのでしょうが、同時に保険上の制約も考えていないといけない、カルテや診断書、紹介状などの書類も書かなければならない、他のスタッフのリーダーとしての役割もある、その上学会活動や研究活動もかかえている。
高増 それに家庭内での役割ももちろんあります(笑)。人間一人にできることには限りがある。
菅井 ですから、役割分担が非常に重要となる。違う科の医師や、他の職種の人たちとの連携が必要です。
露木 チーム医療というわけですね。
菅井 そうです。それが有効に機能するためには、チームの中の個々の人たちがそれぞれ別の視点から意見を出し合う必要がありますが、しかし目的とするところの根本は一致していないといけない。でなければ、患者さんは「どの人のいうことが正しいのかわからない」ということになってしまいかねません。
高増 セカンド・オピニオンというときにも、本来はそういう一致点がないと患者は混乱しますね。
菅井 そしてチーム医療の中では、医師と患者の間をつなぐ、医学的な知識を持った職業が必要だと思います。カウンセラーみたいなものかもしれませんが、医師が病気の治療を最優先に行い、その職種の人が細かい医学的な情報の提供をしたり、精神的なケア、家庭や地域社会の中での問題の解決を探っていく。私は、たとえば今の自分のように、医学部の中で大学院生として研究をした者が、将来そういう仕事をしていくということを考えているのです。
高増 現在の医療の中でいえば、そういった役割は臨床心理士やMSW6)が担うことになっているのかもしれませんが、位置づけは違いますね。おもしろい発想だと思います。私自身は、キーワードは「ネットワーク」だと思っています。広い意味での目的が一致している別々の発想を持った人たちが、ネットワークを築いていき、連係を取りながら作業を進めていく、もちろん主治医はそれぞれの患者ごとにいるのですが、そのネットワークの中で必要な情報をやりとりしながらベストな道を探っていく。そういういうことをおこなえるようなシステムを作ることです。
露木 私は医学、歯学の教育のありかたについても考えたいと思います。学生の間はカリキュラムが詰まっていて、社会をかいま見るようなアルバイトする余裕もそんなにはない。卒業して大病院の中だけで働いている間も、「医師と患者の関係」について考える必要性があまりないように思います。なにしろ患者さんは医師個人ではなくて、病院の看板で集まってくるのです。そこで働く研修医は医学的な知識、技術を学ぶことで精いっぱいで、社会の中で生活している一人の人間としての患者さんの姿を見失いかねません。医師と患者の関係を考えるにつけ、社会人としての常識を学ぶ機会の必要性を感じます。たとえば授業の一環として、福祉施設でボランティア活動をすることなど取り入れてはいかがでしょうか。それでは、この辺で終わりにしたいと思います。今日はどうもありがとうございました。

1999年9月


座談会出席者

露木 良治(つゆき よしはる)1964年 静岡県生まれ 歯科医師
高増 哲也(たかます てつや)1963年 和歌山県生まれ 小児科医師
菅井 敏行(すがい としゆき)1974年 神奈川県生まれ 国立感染症研究所 研究員

無断転載・引用を禁じます。



1)placebo[英]偽薬
2)informed consent[英]インフォームド・コンセントは最近まで「説明と同意」と訳されていたが、その訳の不十分さは多くの見識者から指摘されてきた。1998年4月、「患者から医師への質問内容・方法に関する研究」研究班の「医者にかかる10箇条」に、インフォームド・コンセントは「医師による説明と、患者の理解・選択にもとづく同意」と訳されており、患者の自己決定権がその根本であるという意識が高まってきている。1997年の改正医療法では、「医師、歯科医師、薬剤師、看護婦(略)は、医療を提供するに当り、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない」との条項が新設された。[参考文献]1998.4.4読売新聞「医療の主人公はあなた」より。
3)second opinion[英]セカンド・オピニオンは、第二の意見と訳される。患者本人の医療情報を得る過程で診断を受けた医師と異なった医師の意見を求めること。セカンドオピニオンは、医療先進諸国では定着し、患者の医療処置の方針への参加の積極的な表現として「インフォームド・チョイス(情報を十分に得た上での選択)」という用語も一般化している。[参考文献]イミダス'98.集英社.1998.
4)family doctor[英]家庭医、ホームドクター、かかりつけ医、(家庭の)主治医。family dentist[英]かかりつけ歯科医。かかりつけ医・かかりつけ歯科医とは、患者の最も身近なところでいつでも健康相談や初期治療(プライマリケア)を受けることができる医師・歯科医師のこと。[参考文献]社会保障体制の再構築に関する勧告.総理府社会保障制度審議会事務局.1995年7月4日、長田道昭:病院と病気の英語辞典.南雲堂フェニックス.1994.
5)doctorshopping[和製英]邦訳はせず、カタカナでこのままドクターショッピングという。同じ病気で、医師の紹介状なしに2人以上の医師に変えること。その特徴は、慢性疾患に罹患している人に多い。また自分の病気にとってその診断と治療に疑問を有している。
[参考文献]三田俊夫:ドクターショッピング.臨床精神医学 25(7),847-849.1996.
6)medical social worker[英]医療ソーシャルワーカー



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