第9章 腫瘍

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悪性 [英malignancy]
(悪性) 悪性症候群、悪性貧血、悪性リンパ腫など、悪性と頭につく病気が結構ある。しかし、がんにすべて悪性とつけているわけではないから、悪性とつく病気の原因がすべてがんというわけではない。その病気の原因が悪性ということで名前をつけたケースが多く、病気の歴史を語っていることもある。
悪性腫瘍 [英malignant tumor]
一次癌 [英primary cancer]
(原発癌)
一塊切除 [独+英en bloc resection]
癌組織にメスを入れない、触れないことを原則とするから、もし口腔癌でも舌、口唇、下顎歯肉癌などにおいて、所属リンパ節と原発腫瘍との連続性の疑われる場合、両者も一塊として切除する一塊切除が行われる。
エイジング [英aging]
(加齢) 癌の発生は年齢が進むにつれて増加する。日本の癌罹患のデータに基づいて推計すると、100歳まで生きた場合、男性の4分の3、女性の約半数が癌に罹患することになる。
エン ブロック [独en bloc]
(一塊として)
活性酸素 [英active oxygen]
呼吸により体内に取り入れられた酸素は、体中に運ばれエネルギーを生み出すが、その過程で活性酸素をつくる。これは電子が不安定な状態の酸素分子でフリーラジカルとよばれる。活性酸素は他の分子と化学結合しやすく、体内の不飽和脂肪酸と結合して過酸化脂質(lipid peroxide)をつくる。過酸化脂質はラジカルになりやすく、この物質が老化をはじめ、発がん、腎障害、動脈硬化、白内障などの異常を促進することがわかってきた。
カヘキシー [英cachexia]
(悪液質) [英cancerous cachexia](癌性悪液質) 全身の衰弱とるい痩(emaciation)が著明な悪化状態。
カポジ肉腫 [英Kaposi's sarcoma]
カルチ [英carcinoma, 独Krebs]
(癌) (略)Ca 平仮名の“がん”は白血病をも含めてすべての悪性腫瘍を意味し、漢字の癌は上皮性悪性腫瘍を表す(日本癌治療学会用語委員会)。腫瘍は細胞の遺伝子の病気と理解され、正常細胞に環境因子が作用して発癌することがわかってきた。癌細胞は分裂をくり返して増殖し、塊をつくり固形腫瘍(solid tumor)となり、また、白血病のように液性(fluid tumor)の形を呈する。
◇ "Kampf dem Krebs. Krebs ist heilbar."「癌は治る。癌と闘え。」Wilhelm Konrad Ro"ntgen(1845-1923)の言葉。
カルチノーマインサイチュー [英carcinoma in situ (CIS)]
(上皮内癌)
癌遺伝子 [英oncogene]
がんもどき理論
近藤誠医師(慶応大学医学部放射線科講師)の著書である「患者よ、がんと闘うな」は、1996年に発売され45万部のベストセラーになり、癌の診断や治療をめぐって論争をまき起こした。近藤医師は、癌には転移する「本物のがん」と転移しない「がんもどき」があるという近藤仮説(がんもどき理論)を提唱している。
口腔癌 [英cancer of the oral cavity, oral cancer]
悪性腫瘍全体からみると、口腔および咽頭部に発生したものは、ほぼその1-2%と推定される。頭頚部癌のうち口腔癌は30%を占める。
頚部郭清術 [英radical neck dissection (RND)]
(根治的頚部郭清術)
・部分頚部郭清 [英partial dissections]
・全頚部郭清 [英total dissections]
・機能的頚部郭清術 [英functional or conservative neck dissection]
保存的頚部郭清術とも呼ばれる。胸鎖乳突筋、副神経および内頚静脈を保存する方法。
・治療的頚部郭清術 [therapeutic neck dissection]
臨床的に頚部リンパ節へ転移をきたしていると思われる症例に対して施行される頚部郭清術。
・予防的頚部郭清術 [英prophylactic neck dissection]
明らかなリンパ節転移は認められないが、癌細胞の潜在性転移(microscopic metastasis)の可能性を考慮して行う頚部郭清術。
サルコーマ [英sarcoma]
(肉腫)
進行癌 [英advanced cancer]
スキルス胃癌 [英scirrhous gastric cancer]
(びまん浸潤性胃癌) 胃粘膜表面に現れず、内部で漿膜以下にまで進行する癌。このタイプの中でも胃体部領域のもの(狭義のスキルス胃癌)は特に早期発見が困難で、手術時のリンパ節転移率は90%以上、再発率も70%を超える。
◇ 人気司会者の逸見政孝(いつみ まさたか)さんは、スキルス胃癌と診断された。三回目の手術は東京女子医大で行われ、約3kgの臓器を摘出するという13時間におよぶ大手術を受けた。しかし、最初の胃癌発見から1年足らずで亡くなった。逸見さんが受けた治療をめぐって各界で論争が起きた。
セーフティー マージン [英safety margin]
(安全域、安全幅) 悪性腫瘍の手術に際し、病巣を確実にen blocで切除することが最重要課題であり、部位、組織型、組織学的悪性度などにもよるが、可及的に1.5-2.0cmの安全域を確保して切除することが最優先される。サージカルマージンの項参照。
舌癌 [英cancer of the tongue]
舌癌は口腔癌の半数以上を占める。
前癌性病変 [英precancerous lesion]
潜在癌 [英latent cancer]
(潜伏癌、不顕性癌) 臨床的に何ら気づかれずに、剖検時あるいは剖検材料の組織学的検索によりはじめて発見される癌をいう。転移もないのが普通である。高齢者の前立腺や甲状腺に認められる微小癌(minute cancer)がこれにあたる。前立腺や甲状腺における潜伏癌の存在率は10%以上にものぼり、しかも年齢とともに上昇する。
多重癌 [英multiple primary cancer]
多重癌とは、2個以上の異なる臓器に同時性、または異所性に原発性癌が発生した場合の呼称である。癌のできた順番に1次癌、2次癌、3次癌という場合もある。同一臓器にできる場合を多発癌、異なった臓器にできる場合を重複癌とよぶことが多い。また、最初の癌が発見されてから2つ目の癌が発見されるまでの期間によって1年(米国SEER*の定義では2カ月)以内に発見されたものを同時癌(synchronous cancer)、それ以上経って発見されたものを異時癌という。*SEER:Surveillance Epidemiology and End Results
◇ 頭頚部癌症例は、第2癌を併発する率が少なくない。その経過中に症例の15-20%が多重癌を診断されている。第2癌の特徴は、その70%以上が食道、頭頚部、肺の範囲に発症することである。口腔・咽頭癌(消化器系)の症例は、1年以内に8-9%の症例において食道癌が診断されている。
多段階発癌 [英multiple-step (or multi-stage, multistep) carcinogenesis]
癌は、臨床的にも、病理学的にも、前癌病変から転移・浸潤能をもつ癌細胞へ多段階的に進行することが知られている。そして、それぞれの段階は細胞内に順次蓄積していく遺伝子異常に対応していると考えられている。このように遺伝子変化が蓄積して、段階的に腫瘍が発生・進展していくという考え方を多段階発癌説とよぶ。
◇ 癌は年齢と深い関係がある。細胞の遺伝子が最初の損傷を受ける発癌イニシエーションの年齢を推定してみると、多くの癌で20歳から30歳代前半で起こっていると推定される。
治療効果
頭頚部がん治療効果判定基準(日本頭頚部腫瘍学会)
・CR [英complete response]
(著効) すべての病変が消失し、新病変の出現がない状態が4週間以上持続したもの。
・PR [英partial response]
(有効) 二方向測定可能病変の縮小率が50%以上、一方向測定可能病変の縮小率が30%以上または評価可能病変の改善が50%以上であり、かつ新病変の出現しない状態が4週間以上持続したもの。
・NC [英no change]
(不変) 二方向測定可能病変の縮小率が50%未満、一方向測定可能病変の縮小率が30%未満または評価可能病変の改善が50%未満で、それぞれの病変が25%未満の増大または増悪にとどまり、かつ新病変が出現しない状態が4週間以上持続したもの。
・PD [英progressive disease]
(進行) 測定可能病変が25%以上の増大または評価可能病変の25%以上の増悪、新病変の出現がある場合。
ディスプラシー [英dysplasia, 独Displasie]
(異形成)
頭頚部腫瘍 [英head and neck tumor, head and neck cancer]
頭頚部癌の臨床的な特徴として局在癌(stageⅠ,Ⅱ)の場合は手術、放射線治療などの局所治療により5年生存率は約50-90%を得ている。これがstageⅢ,Ⅳの進行癌となると5年生存率は0-50%に低下する。すなわち、進行癌においては局所治療の進歩にもかかわらず大部分の症例では原病がコントロールされていない。このうち約2/3は局所再発であり、これは今後の局所治療の進歩により生存率の改善が期待される。しかしながら残りの約1/3は遠隔転移である。加えて、臨床的に確認されるよりもはるかに高頻度に剖検において微小転移巣(micrometastasis)が発見される。
トゥモール [英tumor, 独Tumor]
(腫瘤、腫瘍)
二次癌 [英secondary cancer]
(第二の別な癌) 二次癌の原因は、元の癌同様の遺伝的要因や環境要因などのほか、抗癌剤や放射線などによる一次癌(primary cancer)に対する治療の影響など、多くの因子が絡み合っており、複雑である。そのでき方も、同一の原因による癌が時期をずらして複数できる場合や複数の癌がそれぞれ別個の原因によってできる場合など様々である。
ネオプラズム [英neoplasm]
(異常新生物、腫瘍、悪性腫瘍)
放射線誘発癌 [英second cancer after radiation therapy]
放射線被曝に起因したと考えられる悪性腫瘍は、一般に放射線誘発癌または放射線関連癌と呼ばれる。放射線治療がその誘因となったと考えらえる癌で、基礎疾患が良性病変のときは放射線誘発癌と呼ばれるが、基礎疾患が悪性腫瘍の場合は二次癌として一括されることが多い。放射線照射に起因する二次癌のリスクは、5年生存例を母数とした場合、約0.3%と推定されている。
マイクロメタスタシス [英micrometastasis]
(微小転移)
マス リージョン [英mass lesion]
かたまりの病巣、大きな病巣という意味。
メタ [英metastasis]
(遠隔転移)
山極 勝三郎 [Yamagiwa Katsusaburo(1863-1930)]
長野県上田市出身。東京帝大医学部卒業後、ドイツに留学し、ウィルヒョウに師事した。帰国後、32才で東京帝大病理学教授になった。1915年8月、市川厚一とともに、タールを用いてウサギの耳に発癌させることに成功した。これが世界で最初の人工発癌である。「癌出来つ意気昂然と二歩三歩」はその時の句であり、癌研究者の間では有名な句となっている。
ラッシュ [英rush]
(殺到) 腫瘍の増殖速度が著しく速い状態のことを“ラッシュにきている”と表現する。
リカーランス [英recurrence, 独Schub]
(再発)
・局所再発 [英local recurrence]
・転移性再発 [英metastatic recurrence]
良性腫瘍 [英benign tumor]
ML [英malignant lymphoma]
(悪性リンパ腫)
OKK [独Oberkieferkrebs, 英maxillary cancer]
(上顎癌)
TNM分類 [英tumor, nodes and metastasis classification]
(癌の国際臨床病期分類)