第3章 医療

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医薬分業
医師が発行した処方箋(院外処方箋)を患者が薬局に持参し専門の薬剤師が調剤した薬を受け取る制度。日本では1956年から始まった。医師と薬剤師による薬の内容の相互確認、薬の重複使用や薬漬けの改善、調剤待ち時間短縮などの利点がある。処方箋の振り出し先を病院に間連深い特定薬局としたり、医院と薬局が同一敷地内にある第2薬局や、薬局が医院の周りに集中する門前薬局の欠点がある。
医療 [英medical care]
病気を治療すること。「医」という文字は、醫からきており、「さけつぼ」に薬草を封じて薬酒をつくることを示し、医術の原始形態をあらわしている。medicineはラテン語のmedicinaからきており、“治療する”という意味である。
医療過誤 [英malpractice]
医療計画 [英hospital and health planning]
(地域保健医療計画) 医療施設と医療資源の偏在の解消と医療機関相互の機能の連携を推進するために策定された計画。医療の地域偏在の是正として、生活単位の区域ごとに医療圏を設定、医療圏を二次と三次に分け(一次は家庭医)、大都市や広域市町村ごとに設定されている。二次医療圏は一般的な病気での入院を対象として必要ベッド数を設定、三次医療圏は特殊な医療を対象とし、腎臓移植などの先進技術を必要とした特殊な医療を提供するもので、都道府県を単位として設定されている。病診連携の項参照。
医療従事者 [英medical care personnels]
医療用具 [英medical device]
人もしくは動物の疾病の診断、治療もしくは予防に使用されること、又は人もしくは動物の身体の構造もしくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている器具器械であって、政令で定めるものをいう(薬事法第二条)。
インフォームド コンセント [英informed consent(IC)]
(説明されたうえでの同意) 基本的にインフォームド・コンセントとは医療側が、診断や治療にあたって患者に下記の内容を伝え、患者がそれを理解、納得、同意し、治療に参加することをいう。その内容は、①診断の結果に基づいた患者の現在の病状を正しく患者に伝える、②治療に必要な検査の目的と内容を患者にわかる言葉で説明する、③治療の危険性の説明、④成功の確率の説明、⑤その治療処置以外の方法があれば説明する、⑥あらゆる治療を拒否した場合にどうなるかを伝える、等であり、単に伝えるだけではなく、患者が理解したことを確認しなければならない。
上乗せ初診料
他の医療機関の紹介状がない場合、診療報酬対象の初診料とは別に、上乗せされる全額自己負担となる料金。「大病院なら安心」、こんな心理を背景に大学病院などに患者が集中するのを回避するため、1996年4月から設けられた制度で、200床以上の総合病院と特定機能病院が上乗せ初診料を自由に設定できるようになった。1996年7月現在(厚生省の調べ)、625か所の病院が最高4600円(消費税別)から最低100円の上乗せ初診料を徴収している。
延命至上主義、バイタリズム [英vitalism]
生命はつねに可能な限り救わなければならないという考え。延命絶対主義ともいわれる。
往診、来診 [英house call, home visit by a doctor]
オッフェン [独offen]
開くから転じて開業のこと。(関)開業医[独Offenarzt]
◇ 我が国は、自由開業医制である。
介護 [英care (of the sick)]
疾病や障害、老化により低下した日常生活の世話をすること。1997年12月現在、日本で痴呆や寝たきりで介護が必要な高齢者は約230万人いる。
介護保険法
要介護状態になった人が能力に応じて自立生活を送れるように、保健医療や福祉のサービスを提供する公的保険。被保険者は40歳以上のすべての人。2000年(平成12年)4月1日スタート。
環境ホルモン [英endocrine-disrupting contaminants (EDCs), environmental endocrine disruptor]
内分泌かく乱物質やホルモン阻害化学物質とも呼ばれる。体内に取り込むと多くは女性ホルモン(エストロゲンestrogenなど)と同じような働きをする化学物質。動物実験でオスがメス化するなど性器や性行動に影響を与えることが確認されている。ヒトの精子減少や女性の乳がんとの関係も疑われている。ダイオキシン(dioxin)やポリ塩化ビフェニール(PCB)、ビスフェノールA(bisphenol A)、有機スズ(TBT)など約70種がリストアップされている。1997年に出版された「奪われし未来OUR STOLEN FUTURE」によって注目を集めるようになった。
◇ ビスフェノールAは歯科用レジンやシーラントからも遊離されるとの報告(Environ Health Perspect 104:298-305,1996)もある。これに対する反論が歯界展望Vo.91 No.4 P752-P756,1998-4に掲載された。それによると、現在日本で市販されているコンポジットレジンやシーラントからはビスフェノールAが検出されていないとのことである。
緩和ケア [英palliative care]
緩和ケアは、ホスピスケア(hospice care)の哲学を核とし拡大したものである。1996年10月には国際疾患分類の新たな診断コードとして認知された。
【NHOによる緩和ケアの概念】①生きることを尊重し、だれにも例外なく訪れる死への過程に敬意を払う②死を早めることも死を遅らせることもしない③疼痛やその他の苦しく不快な諸症状のコントロールを行う④精神・心理的ケア、社会的ケア、スピリチュアルケア(spiritual care)を行う⑤死が訪れるまで患者が積極的に生きていけるような支援を行う⑥患者の療養中から死別した後まで家族の苦難への対処を支援する。*NHO:National Hospice Organization
給付率
医療費のうち健康保険等で支払われる率。
救急医療 [英emergency care]
救命期待権
「救命期待権」を侵害したとして、1998年2月末、金沢地裁は医療過誤訴訟の判決で病院側に慰謝料の支払いを命じた。これは患者が期待した適切な治療を怠ったとの判断に基づくもので、医療過誤訴訟で患者救済の道が広がったと評価する声も高い。今回の判決も「死亡率が高く救命が比較的困難とされる場合であっても、最適な治療を受けることによって救命を期待する権利がある」とし、結果はどうあれ、医師に全力を尽くすことを求めている。(1998.3.11読売新聞より)
クオリティ ケア [英quality care]
(医療の質)
薬漬け医療 [英polypharmacy]
クリニック [英clinic]
(診療所、診察室) 本来は“患者の診察室”とか“臨床講義”の意で、これより転じて診療所とか医療施設の意味に用いられている。なおクリニックは“寝台、病床”を意味するギリシャ語のクリニコスklinikosに由来する。
健康 [英health]
健康とは身体的にも精神的にも社会的にも完全に良好な状態であり、単に病気がないとか病弱でないということではない。今日到達し得る最高水準の健康を享受することは、人種・宗教・政治的信条・社会的経済的条件などによる一切の差別なく、すべての人類に賦与された基本的人権の一つである。(WHO憲章より抜粋)
高度先進医療 [英highly advanced medical treatment]
一般の診療レベル(医療水準)を超え、最新の研究レベル(医学水準)の診断治療をいう。ただし研究開発段階にある技術は含まない。高度先進医療は、健康保険の主旨上、保険適応外となる。これでは患者の負担が過大になるので、個々の医療施設が、行っている先進医療につき、厚生省より承認を受ければ、その施設では「保険診療を受けながら、高度先進医療(これのみ自己負担)を行える」という制度(高度先進医療実施施設)が作られた。1997年末現在、42の高度先進医療が承認を得ている。
高齢化社会 [英aging society]
高齢化しつつある社会。
高齢社会 [英aged society]
高齢化が進行して高齢人口(65歳以上)の比率が約14%以上の高い比率に達し、それが持続する社会。
告知(癌の) [英truth telling]
回復の見込みがなく、間近な死を避けがたい患者と家族に、医師が病名と病状を告げる(インフォームド・コンセントする)こと。がんの告知について国立がんセンター東病院の調査では、4人に3人(75%)が告知を望んでいることが分かった(1996年10月発表)。
◇ 患者が「死の告知」を受けた時の心理面について、アメリカの精神科医キューブラー・ロスの研究がある。告知を受けた患者は、①衝撃、②(病気の)否認、③怒り、④(死の苦痛を先延ばしにするための)取引、⑤抑うつ状態、⑥(死の)受容、という段階的な反応を示すという。
在宅医療 [英domiciliary treatment]
(在宅治療) (同)[英home treatment](自宅療法) 患者が病室で受けていたのと同様の治療を自宅で受けること。入院、外来と並ぶ第三の医療と位置づけられている。平均在院日数短縮の切り札として、厚生省も在宅医療の診療報酬点数を引き上げて奨励している。医療保険で認められている在宅医療は、在宅酸素療法、在宅自己腹膜灌流(CAPD)、在宅中心静脈栄養法(IVH)、在宅自己注射(下垂体小人症、血友病、糖尿病)、在宅経管栄養法、在宅自己導尿法である。さらに平成2年4月から、在宅人工呼吸指導管理料、在宅悪性腫瘍患者指導管理料、在宅寝たきり患者処置指導管理料(老人では寝たきり老人処置指導管理料)が新設された。新設3項目と在宅酸素療法指導管理料は、都道府県知事に対して在宅酸素療法を指導管理を行う旨を届け出た保険医療機関において算定できる。
在宅患者訪問診療料
社会保険診療報酬においては、従来の往診料に加えて昭和63年に「寝たきり老人訪問診療料」および「寝たきり老人訪問・看護指導料」が設けられた。平成2年には、訪問指導を歯科衛生士が実施できる取り扱いになり、訪問指導の充実が図られた。さらに平成4年の改定では、切削器具等を携行して処置を行った場合の加算と心身障害者に対する加算が新設されるなど、在宅歯科医療推進のための評価が行われている。
サテライト [英satellite]
大学病院の後方ベッド(受け入れ先)となる病院をサテライト病院という。
サーベイランス [英surveillance]
(監視) (例)エイズサーベイランス委員会
歯科医師需給
昭和45年に厚生省が示した「人口10万対50人の歯科医師数の確保」目標は昭和60年以前に達成され、将来的には過剰が危惧されるようになった。厚生省では歯科医師需給を検討した結果、平成37年には20%過剰が予想され、文部省に対し、歯科大学・歯学部の入学定員の20%削減を要請した。その結果、平成4年度までに19.5%(658人)が削減された。
【医師・歯科医師数】 平成6年末
届出数 医療施設従事者数
総 数 人口10万人対 総 数 人口10万人対
医師 230,519人 184.4人 220,853人 176.6人
歯科医師 81,055人 64.8人 79,091人 63.3人
参考文献 『平成6年医師・歯科医師・薬剤師調査の概況(平成6年12月31日現在)』厚生省大臣官房統計情報部
実地医療 [英practice]
開業の意 (関)開業医[英practioner, 独Offenarzt]
支払基金 [英public third-party payers]
(公的医療支払機関) 我が国の診療報酬の審査支払い機関には、社会保険診療報酬支払基金と国民健康保険団体連合会がある。
自費
健康保険を利用しないで受ける診療。自由診療、自費診療、一般診療、給付外診療、保険外診療ともいわれる。健康診断、金属床義歯、メタルボンド冠、歯科矯正、インプラント義歯等は保険給付の対象ではなく、自由診療といわれる。歯科診療においては医科診療に比べて自由診療の頻度が多い。
社会的入院
治療の必要はないが、在宅介護できないための入院。1997年12月現在、日本には、治療が必要ないのに家庭の事情などで半年以上一般病院にとどまる患者が約10万人いる(厚生省介護保険制度準備室)。
診療報酬支払方式
個々の診療行為や医薬品ごとに定められた公定価格(点数表示)を基に、診療実績に応じて計算される点数単価出来高払方式が基本である。出来高払いは積極的な診療を導くメリットをもつ反面、過剰な診療や投薬を招きやすく、老人医療では基礎的な診療を検査や投薬をまとめて定額で支払う方法も工夫されている。保険が支払う薬の公定価格(薬価基準)と医療機関が購入する実勢価格との差(薬価差益)が医療機関の収入の重要な部分を占め、薬剤費が国民医療費の3割弱(1995年28%)に上がっており、薬価基準制度の廃止が検討されている。
成育医療
現在の母子医療、周産期医療は、小児医療に母性医療、産科医療が加わって体系化したが、さらに胎児期、思春期の医療も盛り込んで体系づけられたライフサイクル志向の総合的医療をさす。
セカンド オピニオン [英second opinion]
(第二の意見) 患者本人の医療情報を得る過程で診断を受けた医師と異なった医師の意見を求めること。セカンドオピニオンは、医療先進諸国では定着し、患者の医療処置の方針への参加の積極的な表現として「インフォームド・チョイス(情報を十分に得た上での選択)」という用語も一般化している。
臓器移植 [英organ transplantation]
臓器移植法
臓器移植を行う場合に限って「脳死を人の死」とみなし臓器移植を可能とする法律。1997年6月、通常国会で成立した。対象となるのは、ヒトの心臓、肺、肝、腎、眼球、その他の内臓(小腸、膵臓)である。
臓器バンク [英organ bank]
尊厳死 [英death with dignity]
尊厳死とは、死に直面した末期患者が、延命目的の治療行為を拒み、自らの意志で死を迎えようとする考え方。生前から自らの意志を書面で明確にするリビング・ウイルを広める運動がある。1981年にリスボンで世界医師総会が開催され、患者の権利として「尊厳死の権利」を認めるリスボン宣言が採択された。この中の1項目に「患者は、尊厳をもって死を迎える権利を有する」とある。日本では日本尊厳死協会(〒133東京都文京区本郷2丁目29-1渡辺ビル202,TEL03-3818-6563)が活動している。
代替医療 [英alternative medicine]
第4ルート
血友病以外の疾患に投与して起きたHIV汚染血液製剤による感染ルート。1995年2月25日付『読売新聞』朝刊三一頁に「肝炎患者のエイズ感染 〃第四ルート〃の衝撃 広く使用? 非加熱血液製剤」という記事が掲載された。読売新聞によると「第四ルート」とは、「性的接触、母子感染、そして血友病治療に続く」ものとし、血友病治療以外の血液製剤投与によるHIV感染を「第四ルート」と称している。
ターミナル [英terminal stage, terminal period]
(末期、終末期) 現代医療において可能な集学的治療の効果が期待できず、積極的治療がむしろ不適切と考えられる状態で、生命予後が6カ月以内と考えられる段階。
ターミナル ケア [英terminal care]
(終末期医療、末期患者の看護)
◇ 「患者がその生の終わりを住みなれた愛する環境で過ごすことを許されるならば患者のために環境を調整することはほとんどいらない。家族は彼をよく知っているから鎮痛剤の代わりに彼の好きな一杯のブドー酒をついでやるだろう。家で作ったスープの香りは、彼の食欲を刺激し、2さじか3さじ液体がノドを通るかもしれない。それは輸血よりも彼にとっては、はるかにうれしいことではないだろうか。」(アメリカの精神科医キューブラー・ロス)
デイ ケア [英day care]
(昼間の老人等の預かり) (関)ナイト ケア
出来高払い
診療報酬点数表に基づき、診療行為に要した費用の積算額が診療報酬として保険診療を提供した保険医療機関に対して支払われること。現行の診療報酬は、原則的には出来高払い方式となっているが、一部には定額払い方式も導入されている。
点数表
(診療報酬点数表) 健康保険法第43条に基づき、厚生大臣が中央社会保険医療協議会の審議を経て「療養に要する費用の額の算定方法」として告示している。点数表は、歯科、歯科、調剤報酬に分類され、医科はさらに甲表と乙表に分類される。1点は10円相当。
デンタルIQ [英dental intelligence quotient, IQ concerning tooth and jaw position]
(歯科的関心度) デンタルIQとは、歯周の疾病や予防に対する患者意識の理解度、認知度のレベルをいう。一般にデンタルIQは、情報の豊富な都市部で高く、地方ほど低い。デンタルIQが低い場合は、疾病の早期治療が不可能となり、その結果、歯科治療が長期にわたり、かつ、その他の疾病を併発するケースも多い。今後の歯科医療においては、病気にかかったら治療するという疾病治療のほか、疾病予防の基本となるデンタルIQのレベルアップに対する取り組みも大変重要な課題といえる。デンタルIQを高める具体的な指導内容としては、①歯の構造と役割の正しい理解、②正しいブラッシングの指導、③定期検診実施の必要性、④正しい食生活の必要性、などを徹底すべきである。デンタルIQを高めることにより、予防医学の推進や自由診療、小児歯科、矯正歯科などの高度医療の提供も可能となる。
【デンタルIQテスト】
以下の質問に○か×をつけてください。
①歯は多い人で28本ある。
②糸切り歯(犬歯)は真ん中から4本目で、根はふつう一番長い。
③幼児の虫歯予防には、歯磨きよりむしろ規則正しい食生活のほうが大切。
④虫歯と歯槽膿漏が、歯の二大疾患である。
⑤虫歯も歯槽膿漏も、いわゆる歯くそ(歯垢)の中のバイ菌が犯人。しかしバイ菌の種類は異なる。
⑥下の奥歯は最も早く喪失しやすいので、歯磨きを念入りに。下の内側から始めるのは合理的だ。
⑦総入歯は、上より下のほうが難しい。トラブルも多い。
⑧歯無し(1本も歯がない人)の率は、文明国で日本が最も高い。
⑨歯科予約を診療当日に取り消すと、キャンセル料は不要だが、ほんとうは平均1万円ほどの損害を歯科医に与えている。
⑩名医ほど、お中元お歳暮などのつけ届けが大切だ。
⑪歯科治療の最大の目的は、歯痛からの解放。それは現在も変わらない。
⑫総入歯になると、自分の歯の時より噛めなくなるが、その咀嚼度は、人によって、天然の歯の7%から70%までと、個人差が非常に大きい。
[デンタルIQテスト解答]
①×(親知らずが4本全部あると32本)、②×(3本目。歯列のかなめになっている歯)、③○(歯磨きは習慣づけの意味が大きい)、④○、⑤○、⑥○(くわしくは右ききなら右下から)、⑦○(だから下の歯は大切)、⑧×(種々の要因から、最も歯無しが少ないレベルにある)、⑨○、⑩×(名医ほど「よくなった時の心からの笑顔」を励みに思うもの)、⑪×(歯の喪失防止が最重要。むろん歯痛からの解放も大切だが、それだけにとどまらなくなってきた)、⑫○
1問10点。合格点が、歯科IQ50点以下は、かなり問題。60-70点は、もう一歩。80点以上は合格。(患者のための歯科のすべて.朝日新聞社.1992.より引用)
ドクターショッピング [英doctorshopping]
同じ病気で、医師の紹介状なしに2人以上の医師に変えること。本邦では武市らが7.9%と報告している。その特徴は、慢性疾患に罹患している人に多い。また自分の病気にとってその診断と治療に疑問を有している。同じ愁訴で複数の医療機関を転々として種々の検査を受けること(患者)。
ナチュラル コース [英natural course]
(自然経過) ターミナルケアで積極的に治療をしないこと。
寝たきり老人 [英old people confined to bed]
一般に65歳以上で、6カ月以上寝たきりになった人をいう。「障害老人の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準」の3および4に該当する老人。国民生活基礎調査(1995年)によれば、65歳以上の在宅の要介護者は86万1000人(人口千対49.3)、うち「全くの寝たきり」と「ほとんど寝たきり」を合わせた「寝たきり老人」は28万4000人(人口千対16.2)である。寝たきり老人のうち、48.9%は3年以上の寝たきりである。寝たきりの主な原因をみると、脳卒中32.7%、老衰26.7%、骨折・転倒9.2%となっている。寝たきり老人は「寝かせきり老人」であるとも言われている。(関)寝たきりの[英bedfast, bed ridden]
[寝たきり度判定基準]
何らかの障害等を有するが日常生活はほぼ自立しており、独力で外出する。
交通機関などを利用して外出する。
隣近所へなら外出する。
屋内での生活はおおむね自立しているが、介助無しには外出しない。
介助により外出し、日中はほとんどベッドから離れて生活する。
外出の頻度が少なく、日中も寝たり起きたりの生活をしている。
屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド上の生活が主体であるが坐位を保つ。
車いすに移乗し、食事、排泄はベッドから離れて行う。
介助により車いすに移乗する。
一日中ベッドの上で過ごし、食事、排泄、着替において介助を要する。
自力で寝返りをうつ。
自力では寝返りもうたない。
◇ 「障害老人の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準」の1,2に該当する老人のうち生活支援を必要とする者、およびその他生活意欲の減退などにより生活支援を必要とする者を虚弱老人という。また、要援護老人とは「寝たきり」、「痴呆」およびいわゆる「虚弱」の老人を指し、このうち「寝たきり」と「痴呆」で要介護状態にある者を要介護老人をいう。
ノーマライゼーション [英normalization]
(平常化) 全ての人々が同じ視線で互いを見つめ、人格を認めあおうとする理念。ノーマライゼイションとは、障害者を特別視するのではなく、一般社会中で、普通に生活が送れるような条件を整備すべきであり、そうすることで、障害を持たない人も暮らしやすくなるということ。
バイオエシックス [英bioethics]
(生命倫理) ビオス(いのち、生き物)とエシイコス(習俗、倫理)というギリシャ語に由来する合成語で「生命倫理」と訳されることもある。1960年代後半から形成されつつある全く新しく統合された学問分野で、生命・医科学、医療、看護、法、政治、経済、哲学、神学、宗教、倫理、文学、芸術などさまざまな研究領域の枠を超えた学際的協力により、「いのち」をめぐっての個人的価値判断や社会・公共政策に関する研究と実践を展開している。遺伝子組み換え、環境、公害、臨床治験、患者の権利、女性解放、末期医療、老人看護、障害などの課題に取り組んだ、ごく普通の一般住民による地域社会での「いのちを守り、育てる」草の根の人権運動がその基盤にある。
◇ バイオエシックスの新しい展開に対応して、臨床医学・看護の立場に焦点を合わせた臨床バイオエシックス(clinical bioethics)という新しい研究分野も形成され、アメリカの医学・看護教育のカリキュラムとして定着しつつある。
パターナリズム [英paternalism]
(父子主義)
バリアフリー [英barrier free]
「障壁のない」という意味。平成五年三月に「障害者対策に関する新長期計画」が出された。この中では、基本的な考え方として、5点が挙げられている。①障害者の主体性、自立性の尊重。②すべての人の参加による、すべての人に平等な社会づくり。③障害の重度化、複合化および、障害の高齢化への対応。④施策の連携。⑤「アジア太平洋障害者の十年への対応」である。この②の観点においては、「障害者をとりまく、あらゆる障壁(バリア)となるものを除去し、特に待ちづくり等を含む、生活環境の改善を図ることにより、障害者が社会活動を自由にできる平等な社会づくりを目標とする」となっています。この考え方は、バリアフリーと呼ばれている。バリアフリーというのは、障害のある人が社会生活をしていく上で、障壁(バリア)となるものを除去するということである。もともとは、歩道の段差や、公衆電話のドア、などのように、具体的に障害者の行動に支障があるような建物や公共物を改良していこうという運動から始まりまった。
◇ バリアフリー住宅とは、高齢者や障害者ができるだけ自立し、安全に住むことができるよう、住宅内の障壁を除去した住宅をいう。
病診連携
(病院・診療所連携推進事業) 医療施設間相互の機能連携と機能分担を進め、効果的な医療供給体制を確立すること。病診連携(広義)とは狭義の病診連携、診診連携、歯科医科連携、その他のあらゆる医療・保健・福祉関係機関との連携を意味する。医療が非常に進歩し、高度化する一方で、患者さんそれぞれのニーズが多様化し、希望される水準も高くなってきた。これらの高度で多様なニーズに、1つの病院、1つの診療所で対応することは困難になっている。全ての病気で、専門医療機関の検査や治療が必要とは限らない。また、患者さん自身の判断で、自分の必要とする医療を求めて、医療機関を選択することは困難である。病診連携が進むことによって、患者さんは、かかりつけ医(ホームドクター)にかかるだけで、専門的な検査や治療が必要になった場合には、自分の希望に沿った適切な医療機関を紹介してもらうことができる。そして検査や治療が、待ち時間が少なく、そしてスムーズに、また不都合なく行われるようになるであろう。
プライマリー ケア [英primary health care (PHC)]
WHOが提唱した基本的保健医療。ヘルスを抜いてプライマリー ケアということが多い。専門医療と一般の医療を包括した医療を行っていこうとするもの。
プレホスピタル ケア [英prehospital care]
(病院前救護) DOAの項参照。
ホスピス [英hospice]
(緩和ケア病棟) 臨死患者のためのケア施設。主に末期癌患者を収容する。ホスピスという言葉は宗教的な意味合いも強く、意味も不明確な点が少なくないため、診療報酬においては、「緩和ケア病棟」という言葉が用いられる。
◇ hospiceは、ラテン語のhospitium(ねぎらう)に由来する言葉で、hospitality, hospital, hotelなども同じ語源からきている。
ホリスティック医療 [英holistic medicine]
(全人的医療、全人医療) 西洋医学だけに頼らず、東洋医学や民間療法、心理療法など患者にとって効果があると思われる治療はすべて取り入れ、体、心、環境など患者をとりまく生活の全体から病気を治そうというもの。holisticはギリシャ語のHolos(ホロス)、全体という意味が語源。これから派生した言葉にヘルス(健康)やヒール(いやす)などがある。
ムンテラ [独Mundtherapie]
(病状説明、説得療法、暗示療法) 一般には医師または看護婦が患者および家族に対し、診断、治療について説明すること。 (同)logotherapy
薬価差益
医療保険から医療機関に支払われる薬価は統一的に決まっているが、医療機関が製薬メーカーなどから医薬品を購入する際には、それより安く仕入れる。製薬会社の競争もあって、いわば買いたたくため、そこに差益が生まれる。薬価差益は病院経営の主要な収入源となってきたため、「薬漬け医療(polypharmacy)」の温床とも指摘されてきた。1997年度までは年間1兆3千億円と推定されていたが、相次ぐ薬価切下げなどで最近は縮小傾向にあるとみられる。
ラポール [仏rapport]
(人との)密接な関係、相互の信頼関係、~と親しい。
リコール [英recall]
リコールとは、治療や定期検診の必要な患者に対して、来院を促進する広報活動をいう。

リハビリテーション [英rehabilitation]

(全人間的復権、社会復帰) リハビリテーションとは、語源的には「リ(再び)+ハビリス(適した・ふさわしい)+ーション(~すること)」であり、「再び人間らしく生きること、つまり全人間的復権」を目指す理念である。
リビング ウイル [英living will]
(生前発効遺言、尊厳死選択遺書、尊厳死を希望する末期患者の遺言状、生前の意志表示) 将来自分が意思決定能力を失ったときに備えて、自分が行ってもらいたい医療内容について、前もって意志表示すること。
リプロダクディブ ヘルス [英reproductive health]
(性と生殖に関する健康)
リプロダクティブ ライツ [英reproductive rights]
(性と生殖に関する権利) 女性には自分自身のからだと性について自分で決める権利があるとするもの。
レセプト [独Rezept]
(診療報酬請求明細書) 保険医が保険医療機関において、患者に対して保険診療を提供した場合(これを保険診療という)に、その行為に対して支払われる報酬が診療報酬である。
8020運動 [英the national '8020' goal for oral health]
「はちまる・にいまる」運動と読む。80歳になっても自分の歯を20本以上保つことを目標とした歯の健康づくりのスローガンである。永久歯28本のうち20本以上自分の歯があれば食生活に支障がないとの研究報告から、「人生80年」を自分の歯で食べる楽しみを味わい、明るく心豊かな毎日を過ごそうという趣旨のものである。

ADL [英Activities of Daily Living]

(日常生活動作) ADLとは、日常生活を送るために必要な基本動作群のこと。具体的には、歩行、排泄、食事、入浴、着脱衣などで、老人ホームの入所判定や脳卒中後遺症のリハビリテーション効果判定の基準等に用いられている。
AMTA
(米国の「医療へのアクセス法」) 「医療へのアクセス法」の法案の主旨は、「だれでも個人は、自分が望む治療法を、たとえFDA(食品医薬品局)の許可が得られていないものであっても、医師など健康管理実践者からこれを受ける選択権がある」というもの。ただし、患者は、治療に関する必要な情報をすべて事前に知らされ、インフォームド・コンセントの条件が満たされていなければならないとされる。
EBM [英evidence-based medicine]
(科学的な根拠に基づいた医療) EBMとは、常に診療行為の科学的な証拠を明白にしながら診療を進めていく方法である。これからの診療では、その診療行為の妥当性を担保する確固とした証拠が求められ、さらにその証拠の有効性が問われる。患者に対し自信をもって医療情報として開示できる診療内容とするにはEBMが不可欠である。
EDC [英endocrine-disrupting contaminants]
環境ホルモンの項参照。
IRB [英institutional review board]
(施設内倫理委員会) (同)[ethical review board (ERB)](倫理審査委員会) アメリカで制度化されたもので、世界的に定着しつつある。わが国の医学部倫理委員会は、80の全医科系の大学に設置されている。
ME [英medical engineering]
(医用電子工学) MEの歴史は、心電図などの生体電気現象を計測することから始まり、医学と電子工学を結合した領域ということで医用電子装置(medical electronics)と呼ばれた。その後、多くの理工学が続々とこの分野に入り、MEのEはengineering(工学)となった。
PS [英performance status]
(全身状態) KarnofskyのPerformance Statusも1つのQOL評価である。Grade0-4に分類される。Grade 0、社会活動ができ、制限を受けることなく発病前と同等にふるまえる。Grade 1、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や坐業はできる。例えば、軽い家事、事務など。Grade 2、歩行や身の回りのことはできるが、軽労働はできない。日中50%以上起居できる。Grade 3、身の回りのある程度のことはできるが、日中50%以上は就寝している。Grade 4、身の回りのこともできず、介助がいり、終日就寝を必要とする。
QOL [英quality of life]
(生活の質) がん治療で確実な成果を上げうるのは外科的切除であり、早期がんならほとんど90%以上の5年生存率がある。しかし、臓器を切除することによる機能低下は避けられない。例えば肺がんでは呼吸機能の低下は必発であるし、喉頭がんで喉頭切除すれば声を失う。最近ではがんの治療後にできるだけ生活の質を高く保つことが工夫され、機能保存手術や大腸ストーマや乳がん術後のリハビリテーションなどにも力が注がれるようになった。欧米では精神腫瘍学(psychooncology)という学問が育っていて、専門のカウンセラーが患者の精神的支援を行っている。家族の精神的問題、経済的な相談、アドバイスも行う。